令和2年2月13日 東讃教区 特別研修会「寺院を取り巻く環境変化 〜門信徒の実情を知る〜」
令和2年2月13日午後3時より高松興正寺別院にて「寺院を取り巻く環境変化 〜門信徒の実情を知る〜」をテーマに、野村證券(株)金融公共公益法人部 塚嵜智志氏を講師にお招きし特別研修会を開催致しました。
塚嵜氏は、現在、当宗派に於いて寺院経営に関して助言頂いています。また、西本願寺・築地本願寺でも経営に関する委員会のメンバーとしても活躍なさっておられます。
冒頭、高松和範教務所長より、これからのお寺の運営は大変だ。危機感をもっと持たなければならないと、言われて久しい。しかしながら、私たちはなぜ危機感を持たなければならないのか、実は具体的には解っていないのではないか。今回の研修会で統計やアンケートなどの資料を通して、寺院を取り巻く環境を学び、本当の危機感を持って寺院運営にあたってほしいとの言葉がありました。
まずは、環境の変化で一番大きい問題が人口の激減です。現在の急激な人口の減少は、これまでの増加を前提とした年金制度のような社会の仕組みやビジネスモデル、寺院運営方法が通用しない時代に入ったことを表しますと述べられました。
次に世代ごとの宗教観・宗教行動について意識調査の結果を説明して下さいました。10代20代の人達が全世代を通して最も葬儀や法事などのしきたりマナーを知りたいと思っており、情報を得る方法が、テレビからインターネットに取って変わりつつあるとのことでした。
最後に、環境の変化を理解し受け入れることで、これからの寺院の姿が見えてくる。寺院の機能を再考することで「新しいお寺像」を作り出していくことが必要であると話されました。すでに様々な新しい取り組みをしている寺院もあるが、単なるイベントでは意味がなく、イベントを通して新しい人との接点を求め、仏教の本質を伝えていくことが重要であると述べられました。
寺院運営の新たな試み、経営的視点、布施を対価と見なす風潮、仏事の簡素化など、寺院を取り巻く環境変化は非常に厳しい状況にあります。しかしながら今回の研修会で、現状を理解し受け入れ、これからの寺院運営を考えていくよい機会となりました。