令和5年高松興正寺別院 報恩講 ならびに 東讃教区追悼法要

1月25日(水)昼座~27日(金)朝座まで、高松興正寺別院の報恩講が厳修されました。
新型コロナウイルスの影響により、ここ2年は内勤めとなっていたため、今回は3年ぶりにご門主様をお迎えしての報恩講となりました。
前日より全国的な寒波に見舞われ、大変、冷え込みが厳しい中での法要となりましたが、3日間で延べ120人ほどの参拝がありました。

ご門主様ご親修のもと、26日昼座は『十二礼文』(前半六礼)、27日朝座は『無量寿経』(四十八願)を正宗分にしたお勤めが行われました。
また、ご門主様ご出仕のもと、25日昼座は『正信偈』(墨譜)、26日朝座は『礼讃』(初夜偈)がお勤めされました。
25日昼座の勤行後は、「御俗姓法章」が行われ、蓮如上人が書かれた『御俗姓』を第1組 秀円寺住職の佐々木隆寛氏が拝読しました。
『礼讃』は、綾北組 光照寺住職の直井勇健氏が登壇し、導師を務めました。

今回は感染防止の観点から、自由出勤の募集を中止しましたが、各組より代表出勤を賜り、各座12名ほどの内陣出勤がありました。

お斎についても、従来のうどん接待を中止し、26日朝座の参拝者には、持ち帰りも可能な軽食が配布されました。

法話は、本山布教使 まんのう町 善性寺の千葉憲文先生にお願いし、慶讃法要のテーマである「今こそお念仏-つなごうふれあいの輪」についてお話してくださいました。

先生は「慈光はるかにかぶらしめ ひかりのいたるところには 法喜をうとぞのべたまふ 大安慰を帰命せよ」という親鸞聖人のご和讃を讃題に掲げられ、お念仏をいただくことの大切さについて教えてくださいました。

一連のコロナ禍では、人と人との面会が制限され、「つながり」や「ふれあい」を失いつつありましたが、先生は、お念仏を通して、今一度、本当の「つながり」や「ふれあい」を思い出していくことの大切さと、そのことに気づけたときの喜びについてお話してくださいました。

また、先生は親鸞聖人が歩まれた浄土真宗の仏道について、「ご恩」ということに注目され、「ご恩には必ず感謝の心が生まれます。感謝の心が湧かないのは、私たちがご恩を知らないからです」と切り出され、欲望や怒りの心に振り回されて、なかなかご恩をいただけないわが身の煩悩を悲しまれました。

それでも、こんな私を見捨てず、私を案じ続けてくださるのが、阿弥陀さまの本願であります。煩悩に塗れた生活をしている私、決して、立派な者にはなれない私だからこそ、共にお念仏を頂戴し、私たちを育むたくさんのご恩に感謝するのみであります。

先生は最後に、「本当の幸せ」についても言及され、慶應義塾大学の前野隆司先生の「幸せには長続きしない幸せと、長続きする幸せがある」という定義を紹介されました。前者は、美味しい食事やお金、名誉など。後者は、人と比べなくてもいい、心の幸せです。どちらの幸せも大切なのですが、人生をより前向きに歩むためには後者の幸せが大事となり、具体的には「ありがとう」という感謝の気持ちを表すことだと教えてくださいました。

先生は続けて、大谷派の安田理深先生の「足で蹴飛ばしていたものを、あら勿体なやと頂ける世界を浄土という」という言葉を紹介され、今まで気づけなかったことを有り難く思えるよう、阿弥陀さまはこの私にはたらきかけてくださっていることを教えてくださいました。

「有り難い」を「当たり前」にしていくのが私たちのものの見方、「当たり前」を「有り難い」に帰していくのが、阿弥陀さまのものの見方ということです。そのことを私たちに教えてくださるのが、「南無阿弥陀仏」のお念仏なのでありましょう。

25日昼座と26日朝座では、帰敬式が執り行われ、2日間で3人が受式されました。
帰敬式とは、仏・法・僧の三宝に帰依し、仏弟子としての名前「法名」をご門主様から頂戴する大切な儀式です。
一般に、法名は死んだときにいただくものと思われがちですが、真宗門徒として仏道を歩み出したとき、すなわち「今」からいただくことができます。真宗興正派では、生前に帰敬式を受けることを推奨しており、本山の法要や別院の報恩講などで帰敬式を受けることができます。

26日昼座には、ご門主様から御親教を頂戴しました。ご門主様は、「煩悩を抱えたわれらは、今こそ一人ひとりが阿弥陀さまの本願に出遇わなければなりません」と述べられ、一人でも多くの方がお寺に参って、ともにお念仏の心を聴聞されることを願われました。

この他、期間中、仏教婦人会の皆様が、身も心も温まる甘酒を接待してくださいました。

報恩講に引き続いて、1月27日(金)昼座は、東讃教区の追悼法要が勤められました。
このお勤めは、教区内の法中、坊守様の追悼法要で、隔年に開催されていますが、ここ数年はコロナ禍の影響により延期が続き、今回は4年ぶりの開催となりました。

法要前には、平成31年1月~令和4年12月までの物故者30名の名前が読み上げられ、ご門主様ご出仕のもと、『阿弥陀経』がお勤めされました。
お勤め中には、遺族が順次、焼香され、お勤め後は、教務所長の髙松和範氏より挨拶がありました。
髙松氏からは、「コロナ禍で葬儀に参列できなかった方も多い中、今回、このような形で追悼法要ができたことは本当によかった」という旨のお話がありました。

今回の法要では、会行事 千葉好哲氏、副会行事 下津智願氏をはじめ、維那、維那補、知堂、教化参拝、総勢29名が役職に就かれ、法要の準備から片付けまでご協力を賜りました。

この他、坊守会の皆様、仏教婦人会の皆様など、たくさんの方々のご協力を賜りまして、無事に高松興正寺別院 報恩講・東讃教区 追悼法要を勤めることができました。

この法要に携わったすべての方に対して、厚く御礼を申し上げます。