平成30年 本山大相続講 会所:綾南組 法専寺

5月31日(木)午後1時~3時まで、綾南組の綾川町山田下 法専寺において、本山大相続講が勤められました。

本山大相続講とは、文政11年(1828)4月6日に興正寺第27世 本寂上人が「親鸞聖人のお念仏の教えを相続し、繁昌させてほしい」という願いを込めて、讃岐の地にご消息を下されたのがはじまりです。

この「相続」という言葉には、お念仏の教えを聴聞するための道場(本山)を護持してほしいことと、私たちがお念仏の教えをよく聴聞し、それを次の世代に正しく伝えてほしいという願いが込められております。

時代とともに法座の形態は変わってきましたが、現在は春に東讃教区各組を会所として勤められ、秋には高松興正寺別院において勤められております。
法話は一人20分程度の持ち時間で、複数の布教使が行います。
そのため、僧侶にとっては、布教使の育成の場にもなっています。
また、お参りさんにとっては、一度にたくさんの布教使のお話が聞ける、大変有り難い法座となっています。

この日は午前中に法専寺様の春季永代経法要が勤められ、おときを挟んで、午後から本山大相続講が開催されました。あいにくの雨天にもかかわらず、たくさんの方がお参りしてくださいました。

午後1時に、僧侶とお参りさんで一緒に声を合せて、『讃仏偈』をお勤めし、開講となりました。
その後、相続講委員長である綾南組 大興寺の竹内慎也氏から挨拶があった後、早速、法話に入りました。

この日の法話講師は以下の3名です。

中原 大道 師(大乗寺住職)
藤原 友則 師(浄正寺衆徒)
高松 和範 師(長覚寺住職)

法話の後は、法専寺住職 小松正秦氏によるご消息披露がありました。
ご消息披露とは、本寂上人が下されたご消息を原文のまま皆さんの前で読み上げるものです。

ご消息披露の後は、本山布教使 専光寺住職 佐々木安徳 師による復演がありました。
復演とは、ご消息の言葉が現代の人には少し分かりにくいため、ご消息のお心を分かりやすく伝えるためのお話です。

佐々木先生は、ご自身がまだ僧侶として駆け出しだったころ、とあるお家で80歳のおじいさんが曾孫6人呼んで、ご先祖の百回忌のご法事を勤めたときのお話を紹介してくださいました。このおじいさんはご法事が始まる前に曾孫さんに向けて、「このご法事は『ご先祖に感謝しましょう』ではない。ご先祖の血はお前たちにも流れているんだ。その血は、百年前のお前かもしれない。百年前のお前を超えてきたんだ。だから、どんなことも乗り超えられる」と語ったそうで、先生はそれから五十年近く経って、ようやく「ああ、そうだった」と、このおじいさんの言葉に心から頷けたそうです。生身のいのちには限りがありますが、人間の思いというのは、新たないのちに生まれて、縁のある者に伝わり、その人のエネルギーになるということを教えていただきました。
この他、『無量寿経』の中から「修習善語」という言葉を紹介され、どうにもならない悲しみの中で、私に寄り添い、私を導き、私を励ますような、先輩の言葉を思い出した経験から、「よき言葉には、苦しみを超えていく力(智慧と慈悲)が備わっており、その言葉があとから来る人にも必ず伝わり、相続されていきます」ということを教えていただきました。

最後は高松興正寺別院の葛西輪番から挨拶があって閉講となりました。

この相続講のために場所を提供してくださり、当日もお手伝いをいただいた法専寺の皆様をはじめ、準備と片付けを担当された綾南組の皆様、当日のお手伝いを担当された相続講委員の皆様など、たくさんの方々のご協力を賜りまして、無事に本山大相続講を勤めることができました。
この法座に携わったすべての方に対して、厚く御礼を申し上げます。