平成29年 高松興正寺別院 秋季永代経法要ならびに本山大相続講

10月11日(水)高松興正寺別院の秋季永代経法要ならびに本山大相続講が勤められました。この日は秋晴れに恵まれ、気温も過ごしやすい一日となりました。午前、午後ともに60人ほどの方がお参りくださいました。

午前10時から秋季永代経法要が勤められ、『阿弥陀経』を正宗分にしたお勤めが行われました。各組から代表出勤を賜り、香南組 勝光寺住職の橘 正弘氏が法中登壇を行いました。代表出勤と自由出勤を合わせて、18名の内陣出勤がありました。

法話は本山布教使 御厩町 専光寺住職 佐々木安徳先生にお願いしました。
先生は「皆さんは誰から仏さまのことを教えられましたか?」と問いかけられ、「きっと、祖父母が称えていたお念仏が縁になっているのではないですか?」とお示しくださいました。祖父母が毎日お仏壇の前で手を合わせて称えていたお念仏の声は、そのときには意味が分からなくても、横で聞いていると必ず耳に残っていくはずです。そのときに耳に残ったお念仏の声が、苦しみ悲しみにぶつかったときに、ふっと沸き上がってくるのでありましょう。ですから、先生は「お念仏の教えは、祖父母から孫への3世代にわたる相伝が大切です」と教えてくださいました。
また、白寿の祝いを盛大にやってのけたあるおじいちゃんのことを紹介され、「歳を取ると愚痴が多くなったり、昔の自分と比較して悲観的になりがちですが、皆さんもこのおじいちゃんのように老いたくないですか?90歳には90歳の若さがあるのです。ニコニコしながら元気にふるまう姿。それだけで、周りの人に生きる手本を与えているのです。仏教は『我が人生の実相を覚りなさい』という教えです。『私は私でよかった』と思える人生を再発見していきましょう」というお話を頂戴しました。

おときは、円福寺、重蓮寺、長覚寺の仏教婦人会の皆さまが、うどんとバラ寿司を振る舞ってくださいました。また、坊守会から佐々木敬子会長、三好副会長をはじめ、第2組の坊守さんがお手伝いに来てくださいました。心のこもったおときに、お参りさんも法中も大変満足した様子でした。

おときの後、本堂係が教化参拝から相続講委員へと引き継がれ、本山大相続講が開講しました。午後1時、法中とお参りさん全員で声を合わせて『讃仏偈』をお勤めしました。お勤め後、相続講委員長の竹内慎也氏から挨拶があり、早速、一人目の法話に入ります。

本山大相続講とは、文政11年(1828)4月6日に興正寺第27世 本寂上人が「親鸞聖人のお念仏の教えを相続し、繁昌させてほしい」という願いを込めて、讃岐の地にご消息を下されたのがはじまりです。
「相続」という言葉には、「お念仏の教えを聴聞するための道場(本山)を護持してほしい」ことと、「お念仏の教えをよく聴聞し、それを次の世代に正しく伝えてほしい」という願いが込められているそうです。

そのため、ほとんどの時間が法話に充てられ、法話は一人20分の持ち時間で、複数の布教使が続けて行う形態になっています。僧侶にとっては布教使の育成の場となり、お参りさんにとっては一度に複数の先生のお話が聞ける、大変有り難い法座です。

現在は、各組の寺院を会所とした相続講と高松興正寺別院を会所とした相続講の年2回行われています。

この日の法話講師は以下の3名です。
安本 正貴 師(正信寺住職)
尾形 信明 師(教福寺住職)
川田 慈恵 師(妙楽寺衆徒)
講師の選出は、各組に振り当てられており、今回は第5組、香南組、香川組から選出されました。

法話の後は、高松興正寺別院 輪番 葛西一浄氏によるご消息披露がありました。
ご消息披露とは、本寂上人が下されたご消息の原文を皆さんの前で読み上げるものです。
この日は、ご消息を現代語訳したプリントも配布され、内容がより理解しやすかったです。

ご消息披露の後は、本山布教使 東かがわ市三本松 大信寺住職 川田信五先生による復演がありました。復演とは、ご消息の心を皆さんに分かりやすくお伝えするための法話です。
先生は「仏教は本当のことが分かる智慧です。それは、自分の人生がむなしく過ぎないために、智慧ある人生を歩みましょうということです」と、お示しくださいました。また、「『三帰依文』に、『人身受け難し、いますでに受く。仏法聞き難し、今すでに聞く』とありますが、生まれてくることは、科学的に考えてみても『たまたま』としか言いようがない出来事なのです。親は子に『産まれてくれて有り難う』、子は親に『産んでくれて有り難う』と言えたら、争いは起こりません。そのことを見失って、『自分が正しい、相手が間違っている』という邪見によって争いが起こっているのです。仏教的なものの考え方を今一度、聞いていきましょう。そして、まずは産んでくれた親に感謝しましょう」というお話を頂戴しました。

復演の後は葛西輪番から挨拶があり、法中とお参りさん全員で『恩徳讃』を唱和して、午後3時に閉講となりました。

朝から長時間にわたる法要でしたが、ほとんどの方が最初から最後までご聴聞されていました。お経本を開いて一緒にお勤めされている姿や、先生のお話を聞き留めようと、メモを取りながら熱心に聴聞されている姿が見られました。

知堂11人、教化参拝8人の役職者には、前日の法要準備から午前中の秋季永代経法要までご協力いただきました。
相続講委員8人の役職者には、午後の本山大相続講から法要の片付けまでご協力いただきました。
この他、おときの接待をしてくださった仏教婦人会の皆さま、坊守会の皆さまなど、たくさんの方々のご協力を賜りまして、無事に秋季永代経法要ならびに本山大相続講を勤めることができました。
この法要に携わったすべての方に対して、厚く御礼を申し上げます。