令和6年 高松興正寺別院 春の法要~嗣法様就任披露~

4月26日(金)朝座10時、昼座1時半にて、高松興正寺別院 春の法要が勤修されました。
今回の春の法要は、本山興正寺より嗣法様をお迎えして、「嗣法様就任披露」として勤修されました。

この日は少し曇り空となりましたが、過ごしやすい一日となりました。
朝座94人、昼座36人が参拝してくださいました。

今回の法要は、初の試みとして、維那、維那補の役職がすべて女性で構成されました。

朝座は内陣出勤についても女性に限定され、自由出勤と合わせて17名の出勤がありました。
嗣法様が登壇され、『阿弥陀経』を正宗分としたお勤めが行われました。

昼座は、通常通り、各組より代表出勤を賜り、自由出勤と合わせて21名の出勤がありました。
昼座は『正信偈』中拍子がお勤めされ、巡讃が行われました。

両座ともお勤め後に、嗣法様からお言葉をいただきました。

嗣法様からは、今回の法要に招かれたことに感謝するお言葉や、「嗣法としてできることは何か」「時代に即して変えていく部分と、お念仏の教えのもと、変えてはいけない部分を見極めてまいりたい」というお言葉を頂戴しました。そして、「様々な場面で皆様にお会いできることを楽しみにしております」と結ばれました。

休憩時間には、別院からお茶や甘酒が接待されました。
また、堂内では嗣法様の著書『生きものたちと仏教のはなし』(法蔵館)が販売されました。

法話は、本山布教使 東かがわ市三本松 大信寺住職の川田信五先生にお願いしました。

先生は、「如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし 師主知識の恩徳も 骨をくだきても謝すべし」という親鸞聖人の『恩徳讃』を讃題に掲げられ、法要テーマである「喜ぼう~繋がれてきたこのいのち~」についてお話くださいました。

朝座のお話は、『阿弥陀経』が説かれた祇園精舎にまつわる話や、漢訳された鳩摩羅什(くまらじゅう)について教えてくださいました。

そして、仏教について「私たちが虚しく過ぎないために、智慧ある人生を歩ませてくださる教えです」と教えてくださいました。

先生は、念仏であり、信心を「本当のことに気づく智慧」と押さえられ、「私たちの身勝手な心は、直りません。その結果、私たちは不平不満の愚痴に覆われるのです」と指摘され、「私たちが自分の身勝手な心に気づくためには、仏教に出遇わなければなりません」と、仏教を聞くことの大切さを教えてくださいました。

最後に信心の内容について、①喜び、②感謝の心、③おかげさまの3つで押さえられました。

昼座のお話は、「男系男子」で継承する皇室の制度を例に挙げながら、真宗興正派は女性の門主を認めていることの素晴らしさを強調されました。

また、キリスト教、イスラム教、仏教という世界宗教を比較されながら、仏教は「自分が正しい」という意識ではなく、「自分の心が間違っている」という事実に気づくことだと教えてくださいました。

したがって、「仏教国では争いが起こったとしても、仲裁ができる良さがある」と指摘されました。

また、日本は戦後、憲法が変わり、アメリカの影響を強く受けて民主化されたことを回想されました。
世の中の仕組みが変わったことで、良くなった部分もたくさんありますが、「親を大切にすること」など、教育面では失ったものも多いと指摘されます。

それでも戦後は、急速に経済発展し、東京オリンピックや大阪万博が盛り上がりました。

先生は「経済に勢いがあるときは、何をしても盛り上がります」と仰り、経済が横ばいとなっている現代を鑑み、2021年に行われた東京オリンピック・パラリンピックや、来年に迫る大阪万博の盛り上がりを気にかけられました。

それでも先生は、「昔の人のご苦労を思いますと、今の時代に産んでくれた親に感謝しなければなりません」と仰り、念仏を申す生活を通して、「本当のことに気づいていくこと」「感謝の気持ちを持つこと」の大切さを教えてくださいました。

今回の法要では、おときは実施されませんでしたが、お参りさんには別院からのお土産として、帰りにパンとお菓子が手渡されました。

今回の法要には、維那3名、維那補3名、知堂6名、堂掌1名、教化参拝8名の総勢21名が役職に就かれ、法要の準備から片付けまでご協力を賜りました。この他、東讃教区坊守会様から10名の方が嗣法様やご講師の接待に参加してくださいました。東讃教区連合仏教婦人会様におかれましても、参拝者募集のご協力を賜りました。

たくさんの方々のご協力を賜りまして、無事に春の法要を勤めることができました。

この法要に携わったすべての方に対して、厚く御礼を申し上げます。