平成30年度 東讃教区特別研修会 小谷信千代師

去る平成三十一年一月十六日、高松興正寺別院にて特別研修会が開催されました。大谷大学名誉教授小谷信千代師をご講師にお迎えし、『真宗の往生論』について約三時間に渡ってご講義を頂きました。

現世での往生を説くと主張する近代教学の「現世往生説」を批判しながら、文献学から経論の読み替えを解いていき、親鸞が往生をどのように捉えたかの説明がなされました。
親鸞はその当時の通常の理解とは異なる独自の教義の理解の正当性を示すために、経論の読み替えを多々行っています。

それら幾つかを取り上げて説明して下さいました。第十八願成就文の「即得往生」の語は、教行信証行巻では、「必得往生」と読み替えられている。そして即得されるのは「正定聚の位」であると読み替え、「往生すべき身に定まる」こととした。次々に読み替えを行うことで、成就文は凡夫が現生において真実信心を得ることによって「往生すべき身と定まり」、命終時には往生して仏になることを約束する語へと転換した。

また、第十一願文にも読み替えが行われ、より積極的な根拠として示されました。

親鸞の読み替えの意図を多くの文献から考えていくと、現世での往生を説いていないと結論付くとの話でした。質疑応答にもユーモアを交えながら説明して下さり、楽しく講義を受けることが出来ました。

最後に臆することなく発信し続ける先生らしく、いわゆる大勢的見方に縛られず、疑問に思う事には積極的に意見を述べ、真実を探求していく意識の大切さを述べられ、研修会を締めくくられました。
今回も非常に有意義なお話を聞くことが出来ました。